2012年11月11日日曜日

楽ばかりしようとして駄目になった例について


 ここ最近は政治経済やメディアも含めて、日本そのものが劣化したなと感じる事が多くある。その中でも、「効率化」という名の下に、結果として「楽する」事だけを追求したあげく、どうしようもなく落ち込んで駄目になってしまったという事柄が目立つ気がする。

 そこで今回は「楽ばかりした結果、どうしようもなく落ち込んだ事例」という物を列挙してみた。結論として、やっぱり目先の事ばかり考えていると駄目なんじゃないという話になると思うが、そこから本来どうあるべきだったのかという点に視点が進む事を期待して記しておく。

1)音楽業界
 個人的にダウンロード違法化でムカつくことの多い業界だが、ここも解りやすく劣化した例である。ちなみにダウンロード違法化をした後では、さらにCD売上が低下したようで救いようがない。ダウンロード違法化は結果的に、一般人から音楽に触れる機会を減らし、音楽離れを加速化させたようだ。
 では、ダウンロード問題が売上を低下させた主要因ではないとすると、この業界の問題とはいったい何だったのか? 端的に言えば、それは「AKB商法」を例とする安易な商売の仕方である。

・2012年 オリコン年間シングルランキング 44週目時点の暫定順位速報
 http://www.tnsori.com/archives/51932863.html

 上記を見るとあきらかなのだが、上位を占めるのはAKBと嵐などが大部分で、これはもはや音楽のランキングではない。特にAKBは握手権を売っているようなものなので、本来はまともなカウントなど出来はしない。これを見れば、音楽業界が死んでいる事があきらかだろう。
 そもそも論で言えば、AKBや嵐などが売れるのは電通やメディアの洗脳に近い刷り込みによるものだけで、音楽的な価値ははほとんどない。しかしAKBが売れる事で味をしめたメディアなどが、先をこぞって持ち上げるので、あたかも文化的なムーブメントでもあるかのような状況になった。そしてこの間に、まともな音楽を作ろうとしているものは無視されてきたのでおそらくは、ちゃんとした音楽はかなり淘汰されてしまったのだと思う。
 唯一の救いはボカロのような営利を目的としない、個人作家が多く現れた事で音楽の質向上が目指せる可能性がある事だ。しかしダウンロード刑罰化は、それに冷や水を浴びせている。そもそもAKBしか売れてない時点で、ダウンロード問題など意味がない事が明らかなのに、いったい音楽業界は何をしたかったのか?

 今はAKBで持っている音楽業界だが、こんなパンチラを売りにしたジャリタレがいつまでも続くはずはないので、どこかでバブルは崩壊するだろう。その時こそ、音楽業界が死んだ事が明らかになると思う。できれば音楽業界は死んでもいいから、ボカロのような場で良い楽曲が産まれる事を期待したい。

2)TV業界
 韓流叩きでさんざんなフジテレビが最も解りやすい例だが、フジの場合はおそらくどこかで、経営を効率化しようとして、その結論が「韓流」を大きく売り込む事だったのだろう。自分のところで番組を考えるのはコストがかかる、逆に韓流を輸入すれば制作費はかからないし、なおかつ韓国では自国文化を広めるのに躍起なのでキャッシュバックもある。
 そしてそれに頼り切った結果、自分のところで番組を作るノウハウがすっかり枯れてしまった。そして作る物は二番煎じ三番煎じばかりである。当然売れない。


3)家電業界
 家電業界はのきなみ不振だ。特に国内の携帯メーカは壊滅状態だ。理由については色々意見があると思うが、今回のテーマにそって言えば「努力して新たな価値を創造する事に怠けていた」のが大きな原因だと思う。
 日本のメーカは慢心していたのだろう。だが一番の問題は自分たちの頭で考える事をいつしか止めてしまった事だと思う。ずっと過去にSONYがウオークマンやPlayStationなどを作り始めた頃は、まだ新たな価値を創造しようとする意気込みもあったし、実際に行動をしていたように思う。
 だが最近の国内製品を見ても、値段の高い安いを別にしても、とにかく魅力的な製品がない。このメーカの物を買いたいというものがない。昨年TVを買い替えたが、どれも同じに見えたので結局は売れ筋の無難な製品を買った。品質も今ではあまり変わらない。(個人的にはデジタル化した家電は故障が増えて品質が落ちたなとここ数年前からずっと思っている)


4)政治、メディア
 政治やメディアが昔は良かったのかどうかは解らない。でも、少なくとも昔は、もう少しは自分の頭で考えて行動していたのではないかと思う。政治はアメリカに頼りっきりで新たなコンセプトを考える力を無くしてしまったかのようだ。その結果として彼らの議論は、政治ゲームの駆け引きしかなくなった。逆に言えばそれしか仕事が無くなったという事だろう。
 もちろん、本来の政治の仕事はそんな事ではない。しかし彼らは明らかに忘れてしまっている。そしてメディアも同様に、条件反射のような反応を繰り返すだけで、自分のやっている事の意味を検証できていない。TVはほんとうにどうしようもないが、全国紙の大手新聞もクズである。ちゃんとした記事が読みたければ、地方紙を読む方が良い。

5)警察、検察
 脅迫メール事件で誤認逮捕〜自白捏造をしていた警察も似たようなものだ。捜査の可視化にはあくまでも抵抗し、自分のやり方をかえようとはしないし、反省もしていない。誤認逮捕はIT技術の未熟さだとは認めたが、自白捏造についてはなんら対策をしていない。
 もっとも懸念なのは、彼らの捜査技術が向上せずに、捏造技術だけが今後は進化するのではないかと言う事だ。
(反省してないのだから、当然そうなるのだろうが・・・)

 とりあえず最近考えていた5つの分野について例を挙げてみた。それぞれ個別の事情もあるのだろうが、その根本には誤った効率化(楽すればいい)という発想があるように思う。でも楽する事だけに終始していれば、結局は実力や能力がどんどの退化していっていずれはバブルのように崩壊する。

 「適応しすぎた種は滅ぶ」

 昔からの生物学でのセオリーだが。現在社会や文化でも同様の事が頻繁に見られる。それにしてもこの日本はあぶない。逆に言えば今までは平和でうまくいった時間が長過ぎたのだろう。先人が苦労して作った物を、二代目、三代目が潰している例も多い気がするし、そろそろ自分の頭で考えないとやばい時代になったのだろうと思う。

 中国との領土問題も継続する大問題だ。でも、その大事件の最も緊張した日でさえも、日本のメディアでは「AKBじゃんけん大会」を大々的に報道し、政治は自民の総裁選びに終始していた。当然これで済むはずはないので、こういった危機感のない為のツケは後で大きく跳ね返ってくるのだと思う。